「社会の遺伝性疾患を減らすにはどうすべきか。」
「社会の遺伝性疾患を減らすにはどうすべきか。」
「はじめに」
旧優生保護法による強制不妊手術の問題がとりざたされていますが、結論としては、強制不妊手術は度を過ぎており、すべきではありません。しかし、現実に、親子で顔が似るように、病気や体質は似る(*)ため、不遇な遺伝による疾患を減らすための対策をたてる必要はあります。(*医療機関で家族歴を聞く理由です。)
加えて、医学の発展は、個体の生命予後の改善を達成し、出生から成体に至るまでの自然淘汰をなくすことに成功しましたが、同時に、生存に不利な形質が次世代に伝達されるという副作用もでてきます。
今回は、これらの対策について検討します。
「対応策(次世代)」
遺伝による病気を減らすためには、病気の疫学的な特徴を把握することから始まります。
病気の遺伝が問題となる場合は、
① 常染色体優性遺伝等の重篤な単一遺伝子疾患の人・夫婦の場合
② 同じ系統の疾患をもつ家族歴の夫婦が結婚して、子どもを産む場合 の2点になります。
①については、現在の遺伝カウンセリング・出生前診断での対応で良いと思います。
②については、同じ系統の疾患同士(自己免疫疾患・糖尿病など)の家系の人が結婚する場合は、表現型が強く(=体の弱いところがさらに弱く)なり、次世代の病気はさらに悪化する可能性があるため、避けた方が無難です。
(年をとると、ほとんどの人は病気になるため、加齢性の疾患は、それほど気にしなくても良いです。)
優生保護法で対象されたような(選別はかなり杜撰なようですが、)精神疾患などの重篤な障害がある人の中で、自分自身の生活も自立していない人の場合には、子育てを完全に社会に依存する事になるため、一般的にも子どもを産むことは推奨されないと思います。
「対応策(数~数十世代後)」
医学の発展は、出生から成体となるまでの生存率を向上させ、ほとんど自然淘汰はなくなりました。代わりに、生存に不利な形質は排除されず、次世代に遺伝されていきます。
公衆衛生の進歩や予防接種が進んだ結果、感染症の死亡率が減少し、代わりに、自己免疫疾患の罹患率が右肩あがりに増え続けているのは、無関係ではないでしょう。
また、出生率が低いと、次のように次世代へ不利な形質の濃縮が生じえます。
① 医学の発展 → ② 医療介入による生存率の向上 → ③ 生存に不利益な形質の残存 → ④ 次世代への伝達 → ⑤ さらなる医学の発展・医療介入 → ②に戻る。
解決策は、下記の通りですが、①の対応が良いでしょう。
① 健康な女性にたくさん子どもを産んでもらう。
(戦前のような血族を中心とした地方に集簇して住む家族制度で、病弱な人は付随するのが良い。)
② 体外受精卵の遺伝解析による出生前選別
③ 一夫多妻制、あるいは、精子バンクによる受精卵の作成
「はじめに」
旧優生保護法による強制不妊手術の問題がとりざたされていますが、結論としては、強制不妊手術は度を過ぎており、すべきではありません。しかし、現実に、親子で顔が似るように、病気や体質は似る(*)ため、不遇な遺伝による疾患を減らすための対策をたてる必要はあります。(*医療機関で家族歴を聞く理由です。)
加えて、医学の発展は、個体の生命予後の改善を達成し、出生から成体に至るまでの自然淘汰をなくすことに成功しましたが、同時に、生存に不利な形質が次世代に伝達されるという副作用もでてきます。
今回は、これらの対策について検討します。
「対応策(次世代)」
遺伝による病気を減らすためには、病気の疫学的な特徴を把握することから始まります。
病気の遺伝が問題となる場合は、
① 常染色体優性遺伝等の重篤な単一遺伝子疾患の人・夫婦の場合
② 同じ系統の疾患をもつ家族歴の夫婦が結婚して、子どもを産む場合 の2点になります。
①については、現在の遺伝カウンセリング・出生前診断での対応で良いと思います。
②については、同じ系統の疾患同士(自己免疫疾患・糖尿病など)の家系の人が結婚する場合は、表現型が強く(=体の弱いところがさらに弱く)なり、次世代の病気はさらに悪化する可能性があるため、避けた方が無難です。
(年をとると、ほとんどの人は病気になるため、加齢性の疾患は、それほど気にしなくても良いです。)
優生保護法で対象されたような(選別はかなり杜撰なようですが、)精神疾患などの重篤な障害がある人の中で、自分自身の生活も自立していない人の場合には、子育てを完全に社会に依存する事になるため、一般的にも子どもを産むことは推奨されないと思います。
「対応策(数~数十世代後)」
医学の発展は、出生から成体となるまでの生存率を向上させ、ほとんど自然淘汰はなくなりました。代わりに、生存に不利な形質は排除されず、次世代に遺伝されていきます。
公衆衛生の進歩や予防接種が進んだ結果、感染症の死亡率が減少し、代わりに、自己免疫疾患の罹患率が右肩あがりに増え続けているのは、無関係ではないでしょう。
また、出生率が低いと、次のように次世代へ不利な形質の濃縮が生じえます。
① 医学の発展 → ② 医療介入による生存率の向上 → ③ 生存に不利益な形質の残存 → ④ 次世代への伝達 → ⑤ さらなる医学の発展・医療介入 → ②に戻る。
解決策は、下記の通りですが、①の対応が良いでしょう。
① 健康な女性にたくさん子どもを産んでもらう。
(戦前のような血族を中心とした地方に集簇して住む家族制度で、病弱な人は付随するのが良い。)
② 体外受精卵の遺伝解析による出生前選別
③ 一夫多妻制、あるいは、精子バンクによる受精卵の作成